その2:立ち方について

送信日時 : 2004年 7月 26日 月曜日 18:16

今日は。7/24土は萩野が予告通り姿勢についてお話ししましたので、そのまとめをお送りします。昨年末のクリスマス・コンサートでお招きしたゲスト独唱者お2人の立ち方の違いに気付いた方、いらっしゃるでしょうか。テナーの山下さんは一般に言われる、足を肩幅に開く立ち方でしたが、バスの西垣さんは足を閉じた立ち方でした。萩野はこの足を閉じた立ち方の方が、より強力な支えが得られることに約10年前に気付き、機会がある度に皆様にお勧めしてきました。

足を開いて立つ方が安定する、というのは何に対して安定するのかというと、実は開いた足が作る台形の面積内で重心を動かすことができるため、外部からの動きに対して安定するのです。したがって逆に静的に真直ぐに立ち続ける場合に足を開くと、左右に重心移動する余地があるため、かえって安定しません。

足を閉じて立った場合、少しでも左右に重心を移動しようとすると、そちら側の足への負荷がすごく(開いている時の2倍以上)かかり、それゆえに真直ぐ立たざるを得なくなります。ちょうど茎の細い草が風のない時に真直ぐに立っていることを想像してください。この姿勢は長時間続けると足の裏が痺れてくるので、膝を真直ぐに突っ張らずに少し前に曲げるように緩めると、支える力が太ももにも分散しますし、独唱曲の間は足を開いて休む(それこそ「休め」の姿勢)などすると良いでしょう。今までの立ち方では支えが不十分だと感じた方は、ぜひこの足を閉じた立ち方を試してみてください。

「マタイ受難曲」本番直前にはプロのゲスト独唱者も参加される練習がありますが、ゲストが独唱曲を歌われる時に、合唱団員の居るべき席に座って譜面を睨みながら声だけ耳で聴くというのは、非常に勿体無い聴き方です。まずは席を立って客席相当の側-ゲスト独唱者の声が直接聞こえるところに行き、譜面を見るよりもゲスト独唱者の立ち方・表情・口の開け方などをしっかり見ましょう。そのために「マタイ受難曲」の独唱曲がどんなものかを事前に知っておくと、より役に立つでしょう。