その5:呼吸について

送信日時 : 2004年 8月 31日 火曜日 22:29

 今晩は。萩野です。早川美香さんのシリーズは終わったようですが、萩野の方は気付いたことがある限り続けますので、よろしくお付き合いください。今回は呼吸についてお話します。

 深呼吸が体に良いことは、様々な形で紹介されています。古くはインドのヨガの呼吸法、中国の太極拳や気功術の呼吸法、最近では西野流呼吸法など。萩野が趣味で嗜んでいるスキューバ・ダイビングで空気を長持ちさせる方法も、考え方は同じです。いずれにも共通するのは、ひと呼吸を大きく吸い込み、吸い切ったところで息を少し(1~2秒程度)止めるところにあります。どうしてそういう呼吸法が良いのかは、科学的にも説明できます。成人が普段している呼吸では1回に吸える空気は500cc程度だそうですが、深呼吸時にはその5~6倍以上吸うことが出来ます。当然血液に取り込める酸素の量も、それに比例します。また、吸い切ったところで一旦息を止めることにより、肺の中の肺胞が広がり切った状態で空気を取り込める時間が長くなります。それではそれが歌とどう関係してくるのでしょうか。

 まず1回の呼吸で酸素を多く取り込めるほど、次に息苦しくなるまでの時間が長くなる-則ち息が長持ちします。したがって歌の中で空気を出来るだけ多く吸い込むためには、最初は呼吸にある程度の時間をかける必要があります。具体的には...
歌い出す前に休みが充分ある場合は、曲のテンポにもよるが、歌い出す2拍前から吸い始め、1拍前には吸い切って、息を止めて準備しておく。
フレーズの途中で息を吸う場合は、これも曲のテンポにもよるが、最低1拍は抜き、その間に息を吸う。カンニング・ブレス的に吸う場合の狙い場所としては、弱拍とか、無声子音の部分を利用する。
以上に馴れて来たら、次第に短時間に大量の空気を吸い込む練習をする。
歌う時の体の姿勢としても、息を多く吸い切った時が最も良い響きが出る。 ...というところでしょうか。

 人の寿命は呼吸の回数に反比例する、という説もあります。皆様も普段から深呼吸を心掛け、呼吸の回数を少なくするよう努めてみてはいかがでしょうか。