その6:歌いながら聴くには

送信日時 : 2004年 9月 1日 水曜日 22:11

今晩は。萩野です。本日は歌いながら聴く、ということについてまとめます。

 合唱のパートの一員として歌うためには、歌いながら他のパート(あるいは器楽パート)を聴き、ハーモニーにはまるように音の高さを修正しなければなりません。それでは歌いながら他のパートの音を聴くにはどうしたら良いのでしょうか。

 それに必要なのは、結局正しい発声法なのです。音は密度の高い組織ほど速く、しかも確実に伝わるという性質があります。隣の部屋の音が、壁に耳をつけると聴こえるようになる、というのもそのためです。正しい発声が出来ていないと、特に首より上のどこかに力が入り、その結果、自分の声が、力が入って固くなった体の中の筋肉などを伝わって自分の聴覚に直接届く割合が多くなるため、自分の声が最も良く聴こえるようになり、その結果他パートの声が耳に入らなくなってしまいます。逆に正しい発声が出来ていれば、首から上には力が入っていないため、自分の声は体の中ではなく、空気を伝わって聴こえる成分が多くなり、同様に空気を伝わって聴こえて来る他パートの声がちゃんと聴覚に届くようになります。

 萩野が大学の合唱団に入って2年目、素晴らしい声のボイストレーナーの先生がいらしたのですが、その先生の声を真似したくて、ついつい下顎から首にかけて、すごく力の入った発声をしたものでした。そうすると自分では自分の声がよく伝わるため非常に心地よいのですが、他の人が聴くと、意外と声は外には出ていなくて、その結果上記のようなことに陥ってしまい、そこから抜け出すのに半年くらいかかりました。 合唱初心者の皆様は、どうかこのような力みに陥らないように気を付けてください。