その02:体を使う

送信日時 : 2004年 6月 15日 火曜日 0:46

浜松バッハ研究会のみなさま。

いかがお過ごしでしょうか? 台風が去ってもまだ梅雨空。今しばらくこの湿気とお付き合いしなくては。湿気、といえば冬は空気が乾燥してのどが痛みやすいですね。私、レッスンに行くたびにイソジンのうがいをする(させられる)のですが、イソジンにすっかりはまってしまって、のどがおかしいとすぐにイソジンうがいをするようになりました。すると、どうでしょう。風邪をひく時は必ずのどが痛くなってタンが絡んで変なセキをしたものでしたが、今ではのどをひどく痛める、ということはほとんどありません。のどを大事にしようとする意志とイソジンの殺菌作用でダブル効果、ってところでしょうか。この時期、エアコンで空気が必要以上に乾燥することがありますから、のどを守ってくださいね。

ただしイソジンはのどに痛みを感じるときにも一日1~2回ぐらいでそれ以上しないほうがいいみたいです。クリスマスコンサートのときの西垣ジュニアたちは、「イソジンは良くない、プロポリスをのどにさすんだ。」と言っていました。注射針で刺すのかと、私はとっても驚きましたが、「注す」のだそうです。見せてくれましたが、とても高価なものらしい。

さて、1をお送りしてから一週間。あなたの中で何かが変わったでしょうか。練習に行けなかった、という人もいらっしゃることでしょうが、息を吸うことについてのイメージを広げる訓練は声を出さなくてもできます。お料理しながら、トイレで新聞を読みながら・・・。この訓練はかなり有効だと私は思います。人目につくところだと、きっとすごい顔になるのでちょっと恥ずかしくて私にはできない。でも練習会場ではそういう羞恥心は捨ててくださいね。

今日は「体を使う」ことを書きます。よく「支えをしっかり」という言葉を聞きますよね。聞いたことがない、という人はいらっしゃらないでしょう。この支えを忘れて、例えば1で言っていた響きのことだけを考えていても、不安定な発声になってしまいます。

自分という楽器を広げて大きめの器を作る、というイメージを持ってみてください。それがどれくらいのものか、例えば・・・自分のウエストより5センチ大きなスカート或いはズボンをはいていたけれど、ベルトのバックルが壊れて機能を果たさない。スカート或いはズボンが落っこちそうで、思わずお腹を膨らます。ずーっとそんな感じで歌うつもりで。お腹だけでなく腰椎の下から4つか5つ位まで下に重心を置く感じ。

ロシア人形のマトリューシカ、ご覧になったことがおありでしょう。人形を上下に引っ張ると中からひとまわり小さい同じ人形が出てきて、それをまた開けると、また人形が出てきて・・・・。あれを開けるときぐぐぐぐぐーっと力が要りますね。自分がマトリューシカになって自力で上下に開けようとしてみてください。そのときに1での頭蓋骨も広げるような意識をもって。どうでしょう。自然と楽器が大きくなって横隔膜も張り姿勢もよくなりますね。結構慣れないとその意識を忘れずに歌うことが大変難しいのです。

「頭を広げる」ことや「響きの場所を探す」ことに精一杯になってしまってすぐ先生から「お腹がお留守になってる。」と言われてしまう情けない私なのです。頭でわかっていても色んなことを一度にしかも歌いながらする、なんて芸当なかなかできないんですよね。こんなに開き直っていてはいけない!?

横隔膜を張ったまま歌うということも、かなり意識していないと忘れてしまって、結果響きがあっちこっちに行ったり、響きを保てない状況に陥ります。

さあ、ちょっとまとめてみましょう。私個人のイメージですが、人間もフルートやオーボエと同じひとつの楽器。楽器を組み立てて、リードをつけたりするように、私たちの楽器も準備が必要なのです。

横隔膜をひろげる
のどを開ける
舌は下げて鼻の奥を広げて頭も開ける
お腹を下に広げる
首の後ろも開ける
背中も広げる

これを維持するだけでもかなり大変。そしてそこに豊かに「息を流して」「歌う」

これができたらプロか?いやいやまだスタートラインに立てる、と言うに過ぎないように思う。奥が深いですね。

土曜日の練習で椅子に座ったまま一度歌ってみた。先生に「練習のときでも歌は立って歌いなさい。」と言われて普段は何の疑いもなく立って歌っている。高音を歌うときには上を広げると同時にお尻の先にシッポのようなものを感じて下にひっぱる。立っていた方が下半身で踏ん張りやすいように私は思った。足が痛い方や腰が弱い方、色々いらっしゃるでしょうから一概に言えませんが、できる方はなるべく立って歌ったほうが楽器のために良いのではないでしょうか?

声って人によってかなり違う。顔が違うみたいに声が違う。そんな私たちがひとつの大曲を一緒に歌うのだから、なるべく同じ響きで歌いたい。少ない労力で音が響く、自由な響き。さあ今日はこの辺で失礼します。
レッツトライ!!

 



送信日時 : 2004年 6月 22日 火曜日 23:33

徳次です。

2,3注意点を。

息を吸うときに下腹をだすのではなく、横隔膜を広げることを意識してください。最近の発声練習でいっていることですが、ちゃんとした姿勢をとると下腹はむしろすこしへこみます。あまりズボンのベルトの位置をひろげることを意識しすぎると、横隔膜がおろそかになって上半身に力がはいるので注意してください。

「舌を下げる」と言う表現ですが、これも注意が必要です。おうおうにして舌全体を奥に引っ込めてしまいかねません。ウやオ母音では舌を平らにするくらいで、ア、イ、エではむしろ舌は前に高くだすほうがよいと思います。舌先はいずれも下の歯に触れています。外国の歌手(とくに男性がわかりやすいか)がオペラなどで口をあけて歌っているときに口の中全体が舌のような映像がありますよね。あれは舌がしっかり前にでているからです。

ポイントは舌根筋に力が入っていないこと。あごの先からのど側に指でさわっていくと骨がなくなりやわらかいところがあります。歌うときにそこが硬くなると、舌を奥にひっこめようと力が入っていることですから、注意してください。

ながく合唱をやっている人ほど、「のどをあけなさい」と言われ続け、逆に喉にちからが入り、響きを落とす原因になっている場合がありますので、一度チェックしてみてください。