その09:途中経過

送信日時 : 2004年 8月 11日 水曜日 1:06

浜松バッハ研究会のみなさま

毎日暑い日が続きますね。いかがお過ごしですか? 

発声を変えようシリーズで「いかに響きを広げるか」ということをみなさんお一人お一人にお考えいただき、イメージを広げていただければと願っていますが、みなさん歌う時になにか変わりましたか? 

実は6月途中から書きはじめて1ヶ月ほどした7月8日のこと。その2、3日前からなんだかいつもと違うかな、と思ってはいたのですが、その日はうまく響くところに「ハマった」とでもいうのか、高い音まできれいに伸びて歌えたのです。「やった、これだ!」と思ったのもつかの間、「そんなに甘くはないぞ」とどこからともなく声が聞こえてきて、そう簡単にハマらないことがわかりました。

書きはじめた当初、「もっと上から」音を置くことを心掛ける毎日でした。発声でも練習の時でもいつもそれだけを考えていた、といっても過言ではないと言えます。そしてその7月8日にその「高さ」がどこからくるものなのかがわかったのです。不確実性を伴うにもかかわらず、「間違いない」という確信が私にはありました。

前頭葉の方ばかり意識していたのが、「もっと上、もっと上」とやっていくうちに次第にある所に行き着きました。その場所はちょうど女の子がポニーテールをするところです。つむじがある辺り。そこにポニーテールを作ることをイメージして下さい。私自身髪の毛が多すぎてポニーテールなどできなかったので、イメージすることしかできません。

眉間の辺りに「くしゃおじさん」を作ったように、つむじのあたりに「くしゃおじさん」=ポニーテール=を作ってみる。実際には眉間にはしわを寄せることができますが、つむじの辺りではしわを寄せることなどできないでしょう。私もしわは作れません。でもイメージして神経を一生懸命そこに集中させてひっぱるのです。そこの場所でやることによって前も開き、天井も高くなるのでしょう。たとえ自分にとって低い音であってもそのままの状態で音を出します。そのまま音を高くしていくと今の私は10分の2ぐらいの低確率で高音まできれいな響きのまま出すことができるのです。(この確率は自分自身が大体これくらいと感じているというだけの数字です。)

7月31日のある礼拝の中でロ短調の終曲を歌う機会に恵まれました。高音の広がる響きが求められる曲で、「響きの場所」に「ハマ」って歌うことができました。この時まさに「のどに負担がかからず」伸びのある声が出せたのです。たとえ他の人にわからなくても自分には何かが違うことがわかる。発声なんて急に変わるものではないからちょっとずつ自分にさえわかるかわからないかのところで変化していくものなのでしょう。

このやり方でいいのかどうかわかりませんし、まだ先生にも聴いてもらっていませんのでみなさんにお知らせする段階ではないのですが、途中経過ということで書きました。もちろん低確率を克服していつでもその状態で歌えることを目標にこれからもがんばります。どうしたら成功しやすいかというとやはりつむじのイメージを忘れず発声の時に響きを広げるという意識をもってやることかな?などと考えています。

でもこんなことを書いたら高音をだす必要のないパートの人は関係ないと思われるかもしれませんが、おそらく音が落ちにくく響きが前に出るようになると思います。私の想像ですのでみなさんご自身がご判断下さい。

そして
これは全くの独り言ですが、その「高さ」は自分のうちにあるものとばかり思っていたのですが、結局つむじでひっぱってさらにその「高さ」は自分自身を離れて頭上のほうにあると今は考えています。そしてそのことが私に歌は自分の力で歌うのではない、自分から離れたところの何らかの力によって歌うことができるのだと教えてくれたように思いました。