送信日時 : 2004年 7月 6日 火曜日 1:00
浜松バッハ研究会のみなさま
一週間ってあっという間ですね。こうして書き始めて一番変わったのは、何を隠そうこの私なのかもしれない。夜になると30分でも歌いたくなるし、一つ一つの音を上からとって前へ出そうとかなり意識している。少し良くなったかな、と思ってレッスンに行って「まだまだ」ということ繰り返し思い知らされる。どこまで高く、また上からってどれ位上なのか、自分の想像をはるかに超えたところにあるようだ。
萩野夫人がまだ大河内さんだったころからレッスンを始めたから、その頃からいる浜松のメンバーはみんな私の声が少しずつ変わってきているのを見ているし聴いている。私が自分で勝手に変わったと思っているだけかもしれない。でも確かに自分の中では変わった。
少し前、上のミの音が出しにくく、「なんだろう」と思いながらちょっと胸を張るようにして大きな舞台の上で歌っているようなことをイメージして歌ってみたら上のソの音まで楽々と出た。ちょっと姿勢を変えただけでここまで変わるか?と実感したひとつの・事件・だった。色々書いているけれど、いつも何かが「足りなくて」満足にできないことが多い。「ちょっとしたことなのよ」と先生の声まで聞こえる。
いつもちゃんとして歌うことができたら、いいだろうなあ。バッハもらくらく歌える。三澤先生が前回のレッスンで
「基本ができれば、あとは曲が変わっても同じ。何でも歌えるようになる・・・。」
みたいなことをおっしゃっていましたね。きっと本当なんだと思います。そんな合唱団になれるといいですね。他人ごとじゃありません。なりましょう。
今回は「母音をきれいに発音しよう」です。あまりちゃんと書けるか自信がないのだけれど、これも大事なことだと思うので思い切って書きます。
三澤先生のレッスンでも母音がきれいに出ないことをよく指摘されます。結構やってみると難しいですね。バッハ研ではしばらくの間、早川が「エ」と「イ」にこだわって練習していましたね。浜松の人で「知らない」という人がいたら発声練習のときに来ていない人ですね。
ついでに言わせてもらうと、発声練習をすると得です。発声のことだけを考えて声を出すことはとても貴重だと思うのです。曲に入ってしまえば歌詞はつくし、リズムが難しいとあって発声の事は忘れられてしまうことが多いでしょう。しかも週一回(2回の人も3回の人もいらっしゃるでしょうが)の機会です。わたし自身、バッハ研の発声練習がいろんなイメージを実践する場であるといえます。家族の晩御飯、残業、子供の送り迎えなどなどさまざまな事情がおありだと思いますが、できる方は時間を作って是非参加してください。・・・・・そういえば浜松では早川が最近は8時半の休憩前にやるように変えたのでした。
さて「どうしてエとイしかやらないの」と早川に聞いたことがあります。「それさえ難しいから」というような答えが返ってきました。響きを変えないで母音を変えるというのが結構むずかしいのです。私は
モアエイウ
ミエアオウ
マエイオウ
を発声練習として同音で(ひとつの音が終わったら半音ずつ音は高くする)練習しています。響きを変えずに、とは響きの位置(場所)を変えずに、ということではないでしょうか。わかりにくい表現かもしれません。わからなかったら「こうかな」「ああかな」といろいろ模索してみましょう。三澤先生がおっしゃっておられましたが「まずやってみろ」「方向がおかしかったらその時は僕が注意する。」これは音楽の方向性のことをおっしゃったと記憶していますが、発声も同じです。やってみて変な方向だったら早川がすかさず指摘するでしょう。前にも述べましたが自分の声
は自分ではどう聞こえているのかわからないのですから、自分ひとりで直していくことはなかなか大変なことだと思います。だから発声練習のときには色々自分なりに目的意識を持って挑戦することが必要なのだと思います。大事なことは一人一人が「響きを変えないでやろう」と意識をもつことです。
先週は「くしゃおじさん」をしましたね。この時の響きの場所を変えない、と意識を持ってみましょう。さらに響きを前にもっていこうと努めましょう。ハミングの位置、と思っていただいても良いかと思います。
さて5つの母音の中でわたしが個人的に難しいと感じているのはウです。ドイツ語のウが自分で何度も言われているからわかっているはずなのに、気がつくと平たい発音で平気で歌っていることがあります。チュッパチャップスをくわえているように、母音のオを発音するときのよに、口の中を開けるように言われます。しかし響きを前にすることを忘れてしまうと後ろに落っこちた響きになります。要注意です。ドイツ語のウは声に出してみると立体的だと感じます。日本語のウは平面的でうすっぺらい印象に思います。ドイツ語のウのほうが断然響きます。ドイツ語で歌うということは、きちんと響きを考えた発声にしないと困難なようです。
そしてよく早川が練習で注意しているのがアですね。「浅くなる」と言われます。これは口を開きすぎる、などと言われていますが、結局響きの場所を考えていないから起こる現象だと思います。響きを前にもってくることを忘れないで。
イについては前回の三澤先生のレッスンでイメージをお話いただきました。両耳からイが伸びていく感じでさらに目は自分の後ろを見る、でしたね。どの母音もそうですが舌の先は下の歯のすぐ後ろのところに置きましょう。舌がおくに引っ込んでしまわないように注意しましょう。目は自分の後ろを見る、とはドームを高く保ってと言うことだと思います。ドイツ語はイがきれいに発音できるかどうかで受ける印象が変わる、というようなことを三澤先生がおっしゃいましたね。イにこだわってみましょう。
エは舌の中腹あたりで上の奥歯の両脇に押し付けるように歌うと舌が落ち込まずに発音しやすい。
オはウとほとんど変わりません。微妙に唇がウのほうが閉じる感じ。
どの母音も響きで歌えるように、のど声は忘れてください。
先日のレッスンでコラールを2曲みていただきました。開口一番「子音をはずして歌ってみて」と言われました。なるほどそういう練習のしかたがあるんだ、と妙に納得しました。ゆっくり母音だけで滑らかにうたう、これが難しいと感じたら真剣に響きを変えずに歌おうとしている証拠かもしれませんね。なかなかバッハ研の練習以外に練習の時を持つなんてこと、難しいです。特に今8声の曲に入りましたから、それどころじないかもしれません。音取りは大丈夫、マタイは2回目という方は積極的にトライしてみてください。
ドイツ語は子音が難しい、と感じておられる方が多いでしょう。確かに3つもついていたりすると見ただけで慌ててしまいますね。ところが母音がきれいに発音できるようになると、自然と子音がついてくるように思います。子音のことはまたいずれ改めて書くつもりでいますが、まず母音をきれいに歌うことを心がけましょう。